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ドナウ川の妖精

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1.

 

「王様がお呼びよ」

べつに私一人が言われたわけじゃない。

この川底の宮殿に住まう水の妖精全員に聞こえるよう、年上の彼女達は大きな声をだしていた。

もっとも彼女達も私と同じ水の妖精なので、人間から見ればの美しい少女にしか見えないだろう。

今日は王様の世話係になっていたようだ。

皆、少しけげんな顔をしながらも宮殿奥に入っていく。

宮殿の中は川面に写る月明かりのおかげで暗くはない。

しかし、大半の妖精が奥に言ってしまうと、大広間は静かになり少々不気味な空間になった。

同時に今まで目立たなかった、ひっそりと光りながら泳ぐ、小さな明かり達。

このドナウ川で溺れた人間達の魂だけが、そこかしこで大広間を舞うのが見える。

陸に住む人間がみたらおぞましいと思うか、幻想的な光景だと思うのか。

そんなことを私は、ぼんやり考えていた。

「いきましょ。王様が待ってらっしゃるわよ」

誰もいない大広間ではなく、今度は私に向かって呼びかける。

私は、

ついて行く 43へ

行かないと返事をする 18へ

 

 


2.

 

私は気を静めた。

青年は無事避難しているかもしれないし、私が行ってどうなるものでもないのだ。

にぎやかに騒ぎ立てる仲間の妖精の傍で、私は黙って水上にある村の方角を見上げていた。

エピローグ2へ

 


3.

 

王様は心地よさそうに椅子にもたれかかり、相変わらず目を覚ます様子はない。

机に置いてあるいくつかのモニュメントに混じって、水晶球のようなものが転がっている。

もしかしてこれが、眠りの原因だろうか。

水晶球を覗いて見る 41へ

詮索はやめて掃除を始める 45へ

 


4.

 

その日がやってきた。

暖かい日差しの差す昼に、川の氷に亀裂が入りそして。

ゴゴゴゴゴオオオオゴォォォーーー

大量の水が動き出すのがその地響きからもわかった。

圧倒的な水の力を感じながら、私は宮殿の中で、濁流が瞬く間に陸上を侵食するのを想像していていた。

あの青年は無事だろうか。助けに行こうか。

王様もこんな時に外出する者がいるとは思わないだろう。

そこまで考えてふと我に返った。興奮しているせいか無茶な考えだ。

水の妖精と言えども今、宮殿をでて無事に住むとは思えない。

私は、

青年を探しに行く 36へ

やめておく 2へ

 

 


5.

 

「そこで覗いてないで出てきたら」

私が話し掛けると、青年はひどく驚いたようだ。

木々の間からのろのろと姿をあらわす。

月明かりに照らされた体はたくましく、やはり川辺の村に住む漁民のようだ。

まだ幼さすら感じるほど年若い。

もっとも、彼から見れば私も同じように見えるだろうが。

「あなたは、どうしてここに居るのですか」

青年は固く聞いてきた。

「ここで歌いたいから居るのよ。それだけ。あなたこそどうしてこちらへ」

「すばらしい月夜だから。最近は水の妖精がいなくなったと聞いて、安心してきたのですが」

「そう、別に安心していていいわよ」

人を溺れさせたいなど、悪戯好きな仲間だって考えないだろう。いつも溺れるのは、人間側の不注意のせいなのだから。

私は中断した歌を再び歌いはじめる。

その間も青年は離れもせず、ただじっと私を見つめていた。

歌が終わると、青年はもう少し近づいてきた。

「あなたは・・・・・・美しい。この世の者ではないくらいだ。

あなたは水の妖精なんですね。歌声で人を寄せ付け、水中に溺れさせると言う噂の」

どう答えようか。

「そのとおりだけど、私は人を溺れさせたりしないわ。私はただ歌いたいだけ」 27へ

「そのとおり。ここにいるとあなたも溺れてしまうわよ。私の邪魔をしないで」 44へ

 

 


6.

 

私は気を静めた。

青年は無事避難しているかもしれないし、私が行ってどうなるものでもないのだ。

にぎやかに騒ぎ立てる仲間の妖精の傍で、私は黙って水上にある村の方角を見上げていた。

12へ

 


7.

 

そして。

久しぶりの外出から数ヶ月が経ち、冬がやってきた。

木々や村の家々は雪がつもり、動物達は姿を消した。

ドナウ川には氷がはり始め、日毎にみるみる厚みをましてゆく。

これでは例え満月の夜でも水上にでることはできない。

私達は宮殿の中で生活し、静かに冬が立ち去るのを待つ。

その光景は毎年のことだったが、私は川の様子で気になり始めることがあった。

水の妖精でしかわからない勘だ。

 

やがて、待ち遠しい春がくる。

私の予想は当たっていた。いつもの年と違って、川の氷は溶けようとしない。

空気は緩み、木々に新芽がでる時期なのに川は厚い氷で覆われている。

 

新たな満月が近づくころ、私は、いや私にかぎらず全ての水の妖精は、確信を持っていた。

ドナウ川は大氾濫を起こすことになる。

氷が割れ、いきなり川から大量の雪解け水が噴き出す。

たちまちあたりは、川辺の木々を呑み込んで巨大な濁流に変わる。

村の家々も完全に水没してしまう程の恐ろしさになるはずだ。

仲間はこの話しに夢中になり、(他の話題なんてないくらい退屈な日常なのだ)

きたるべき洪水の日は、王様に守られた安全な宮殿の中で、どの位置から見物するか相談ばかりしていた。

時間は過ぎて行く。

満月の日がやってきた。私は、以前出会った青年のことを思い出した。

この事を彼に知らせてみようか。

私は、

知らせにいく 14へ

知らさない 20へ

 


8.

 

やがて待ち望んだ満月がやってきた。

王様は相変わらず、王の間にいる。

窓の外から見守りながら、私は推測が当たっていることを祈った。

月はじりじりと登り始める。

王様はうとうとと眠り始めた。

私は月が沈むまで、自由な時間を手に入れたのだ。

 

待ちかねた水上に向かう前に少し考える。

同じ水の妖精達にこの秘密を知らせたら、みんなさぞ喜ぶだろう。

しかし、後で王様に告げ口する者もいるかもしれない。

どうしよう。

私は、

仲間に知らせる 47へ

仲間に知らせない 29へ

 


9.

 

突如、嵐がおこった。

その突風は宮殿を破壊し、私を恐るべき水流にまきこんだ。

意識がもうろうとなる中で、声が聞こえた。

王様?それとも誰だろう。

「嘘つきめ。この項目は読まれるはずがないのだ」

最初からやり直せ。 

 

END

 


10.

 

長い時間が経過したが、残念ながら青年はついに現れなかった。

私は失望感とともに、川底へと帰って行った。

39へ

 


11.

 

不安を押し殺し、水面にあがろうと泳ぎを進めた。

きっと気のせいだったのだろう。スイスイと泳ぎは滑らかで、いつもより調子が良いくらいだ。

あるいは、いつも一緒の仲間がいないから、感じが違うのかもしれない。

そう思う内に、水面にたどり着く。

三日月が静かに見下ろす中、休息するのに手ごろな岩場を探し、それは程なく見つかった。

さあ、岩場に腰掛けて、歌を歌おう。

そう思ったが体が動かない。

いつもと違う感覚に、自分の体を見やった。

しかし見えたのは、妖精の体ではなかった。

いつの間にか魚になった体では、水上に上がるなど無理な話だ。

王様の許しがでて、元に戻れたらまた考え直そう。 

 

END

 


12.

 

嵐のような時は過ぎ、川は静まった。

そして、また次の満月の夜がやってきた。

久しぶりに私は、川辺の岩に腰掛けて歌うことにし、水上に登っていった。

とても、静かで月は冴え渡り、空気は清清しい。人の気配はなかった。

岩場で歌ながら、ゆったりとした川の流れを眺める。

静かな語りかけるような歌を選ぶ。

大勢の村人達の魂のあかりが、川面の上で月明かりにチラチラと輝くから。

あの青年はどこにいるのだろう・・・。

 

END

 


13.

 

湖の中に逃げ込んで、少し泳ぎ進む。

離れた水面から頭だけ出して覗くと、青年は木々の間から姿を表して立ちすくんでいるのが見えた。

月明かりに照らされた体はたくましく、やはり川辺の村に住む漁民のようだ。

まだ幼さすら感じるほど年若い。

もっとも、彼から見れば私も同じように見えただろうが。

なんとなく、気勢のそがれた私は、早めに(仲間がいれば一足先に)帰ることにした。

まだ時間があるので、気が向くなら王様の様子を見てきてもいい。

私は、

王様の様子を見る 37へ

まっすぐ帰る 7へ

 


14.

 

満月の光が照らし出すなか、私は氷を割って川から上がった。

空気の様子や川辺に生える草花をみると、陸上は春の姿へと変わり終えていたようだ。

私はわざと人間にも聞こえやすいように、歌を歌い始めた。

あの青年が気づいてくれることを祈りながら。

 

長い時間が経過したが、残念ながら青年はついに現れなかった。

私は失望感とともに、川底へと帰って行った。

39へ

 


15.

 

大木にはあの青年、それと年かさの男の2人が枝につかまっていた。

青年は身動きしない。気を失っているらしい。

「待ってて、今助けるから」

私の叫びにも青年の反応はない。年かさの男は私の姿に気がついたようだ。私を睨みつける。

「けがらわしい悪魔め。どうせこの洪水も貴様達のせいだろう。

俺達を水底へ引きずり込もうと言うのだな。さっさと消えてうわゎゎゎゎわ」

大木が傾いだ。依然衰えぬ水流は、人間ごと根こそぎ大木を運びさろうとしていた。

私は強引に二人の手を取って川の中に引きずり降ろす。水の中なら力も出せる。

悲鳴をあげる男と、ぐったりとした青年を抱えながら、近くの丘まで泳ぎついた。

エピローグ1へ

 


16.

 

そのとき、私の手を誰かが引っ張りあげた。

「しっかりしなさい」

見上げると、仲間の妖精達だ。

まわりにも沢山いる。

「無茶な人ね。あなたの外出に私達が気が付かなかったら、大変だったわよ」

「人間の為になんて、あなたも物好きね。どうしてなの」

「あんたには恩があるからね」

「王様は今回のことは不問にして下さるそうよ。よかったわね」

口々に呼びかける仲間達。

た、助かったよぉ。私は安堵のあまり力が抜ける思いだった。

「さっ。早く、王様が少しの間だけ水流の力を抑えてくれているわ。帰りましょう」

私は、

村人達を助けなきゃ 21へ

もう戻ろう 48へ

 


17.

 

あたしのうらめしげな視線にも気づかず、月明かりに照らされながら王様は幸せそーに寝ている。

つねってやろうか。いやそれでも起きそうにないな。

何してもこたえそうにない。まったく腹の立つ。何しても起きない・・・うん?あれ?

その瞬間、私は素晴らしい考えを思いついた。

------王様が確実に寝ているのならば、その間なら外に出られる。

このアイデアに夢中になり、王様が寝ている原因を考えた。

考えた末、一つの仮説を立てる。

王様は、満月に影響されているのではないか。

魔法的な力のある月の光は、妖精に心地よい。力の大きい王様ならなおさらだ。

特に満月の夜は、それこそ眠くなってしまうのではないか。

そう結論を出した。

私は期待を込めて、王様を見張る決心をした。

8へ

 

 


18.

 

「ほら、行かないなんてわがまま言わないの」

彼女達の一人は呆れたように言った。私は拗ねてみた。

「だって、王様の話なんてろくなものがないに決まっているじゃない」

「そういう問題じゃないでしょ。どうせ今晩まではヒマなくせに。なにが嫌なの」

「私一人抜けてもわからないわよ」

「駄目。私も正直何の用かは分からないけど、これはけじめよ。

それに王様があなたの欠席に気づいたら、きっと今晩の外出は禁止になるでしょうね」

ヒマなのは当たっているのだが、素直になれない。

とは言え、本当に外出禁止になったら確かに嫌だ。

人間達のいなくなった夜になると、私たち水の妖精は、水上の世界へ遊びに行く。

川辺で飛び回ったり、岩場で歌を歌うのが、私の唯一楽しみにしているイベントなのだ。

私はしかたなく皆の後について行った。 43へ

 

 


19.

 

そして。

久しぶりの外出から数ヶ月が経ち、冬がやってきた。

木々や村の家々は雪がつもり、動物達は姿を消した。

ドナウ川には氷がはり始め、日毎にみるみる厚みをましてゆく。

これでは例え満月の夜でも水上にでることはできない。

私達は宮殿の中で生活し、静かに冬が立ち去るのを待つ。

その光景は毎年のことだったが、私は川の様子で気になり始めることがあった。

水の妖精でしかわからない勘だ。

 

やがて、待ち遠しい春がくる。

私の予想は当たっていた。いつもの年と違って、川の氷は溶けようとしない。

空気は緩み、木々に新芽がでる時期なのに川は厚い氷で覆われている。

 

新たな満月が近づくころ、私は、いや私にかぎらず全ての水の妖精は、確信を持っていた。

ドナウ川は大氾濫を起こすことになる。

氷が割れ、いきなり川から大量の雪解け水が噴き出す。

たちまちあたりは、川辺の木々を呑み込んで巨大な濁流に変わる。

村の家々も完全に水没してしまう程の恐ろしさになるはずだ。

仲間はこの話しに夢中になり、(他の話題なんてないくらい退屈な日常なのだ)

きたるべき洪水の日は、王様に守られた安全な宮殿の中で、どの位置から見物するか相談ばかりしていた。

時間は過ぎて行く。

満月の日がやってきた。私は、以前出会った青年のことを思い出した。

この事を彼に知らせてみようか。

私は、

知らせにいく 28へ

知らさない 20へ

 


20.

 

私には関係のないことだった。そもそも人間は、水の妖精を敵のように扱っているのだ。

そう思い直した。

それからすぐその日はきた。

39へ

 


21.

 

あなたは仲間の妖精に村人達を救助してくれるよう頼んだ。

「なぜ、あなたがそんなに人間達を大事に思うかは知らないけど」

私を助けてくれた妖精が言う。

「あなたの説得には、なんだか“そうしなくては行けない”と思わせる熱意があったわ。いいわ。みんなやりましょう」

みんな頷いて、各自が濁流の中に飛び込む。

相変わらずの恐ろしい水流だがその激しさはピークを過ぎたようで、もう水の妖精にとって危険なレベルではない。

私も青年を探そう。

ざっと見渡すと、水没した村で目立っている大きなものは一本の大木、それと教会の屋根だ。

2つは正反対の位置に存在していた。

大木目指して進む。 15へ

教会目指して進む。 30へ

 

 


22.

 

私は濁った川の流れに飛び込んだ。

人間なら一瞬で運ばれてしまうところだろうが、泳ぐことはなんとかできた。

膨大な水流に流されまいとしながらも、私は村のある方角へ進んで行く。

いくらか流れが緩やかな位置にたどり着いて一息つく。

そこで位置を現在地を推測すると、すでに村はこの濁流の下と言うことがわかった。

私はため息をついた。時すでに遅し。

そのとき、体に衝撃が走った。

流された材木がぶつかってきたようだ。油断した。

バランスを崩した体は濁流を流され、次々に飛び込む岩や木切れにもみくちゃにされる。

ぐ、意識が薄れて行く・・・・・・。

 

私は、仲間に王様と満月の秘密を教えただろうか。

教えた 16へ

教えていない 23へ

 

 


23.

 

どうにも助かりそうにない。水の妖精がなんと情けない最後迎えるのだろう。

妖精と人間の死後は一緒なのだろうか。

そこであの青年に会えるのかな。

とりとめないことを考えながら、私の意識は消滅していった。

 

END

 


24.

 

長い時間が経過したが、私のいのりは通じたらしい。

川の彼方に、あの青年らしき影が姿を表した。

私は急いで水中に戻り、氷の下に見える彼の影に向かって泳ぎ進む。

 

私は、青年の足元の氷を突き破り、頭だけ川から出した。

月明かりが私の顔を白く写し出した。

「こんばんは」

私の声に青年は──間違いなくあの時の青年だった──言葉を失っているようだ。

「あなたに知らせにきたの。この数日のうちに、このドナウ川は大洪水を起こすわ。

あなたの村も押し流されてしまう。早く逃げて」

「あ、あのっ。君はあの時の。いや、なんだって。川の氾濫だって」

青年が聞き届けたのを確認すると、私はすぐに川底に戻っていった。

これで村人達は大丈夫だろうと思う。

しかし──。

彼、さらに村人達は、水の妖精である私の言うことを信じてくれるのだろうか。

信じて欲しかった。

4へ

 

 


25.

 

「王様。起きて下さいませ」

「ZZZ・・・」

「お・う・さ・ま。起きて。ね。ね」

「ZZZ・・・」

王様は起きる気配もない。

コンコンと眠りつづける様子はまるで魔法にでもかかったかのようだ。

どうしたと言うのだろう。

なにか原因がないか調べてみようか。

私は、

窓の外を見てみる 34へ

机を調べる 3へ